以来、時には兄貴のように、時には親友のように、彼と話をしているだけで、いつも自分の行く末は明るいような気分になれた。
ところが、その彼は6年前にこの世を去った。彼の夢はたくさん聞いていたから胸中の無念を思うと当日の私は辛い気分になったものだった。
今日はその彼の誕生日。そして今年、私は彼が生きた年月を追い越した。今まではなぜか彼がこの世に居ないことを認めたくなく、お墓に手を合わせようという気にはなれなかったのだが、彼よりも長く生きたとたんに会いたくなった。
今日思い立って彼の墓があると聞いていたお寺さんを訪ねた。
彼と再び話をするのは命日ではなく、誕生日が良いと思っていたから、今日しかないと突然思い立った。お寺の方に場所を訪ね、静かに墓前に立った。これまでの不義理を詫び、昔のように、これからの事について心の中で彼と対話した。
お墓のそばの大きな木を見上げた時、空はどこまでも澄み切って、秋の陽が眩しかった。
ボブディラン風に言えば、答えは秋の光の中に。