2021年1月3日日曜日

追憶

 雪国で育った私は、雪に纏わるその大変さや厄介さは知っているつもりだが、決して雪が嫌いではない。
近所に住む兄の家で新春恒例の二人新年会(コロナの時代にあっては二人にちびちび静かに飲むのがちょうどよい宴でもある)で一献やったあと、外に出たら、随分と冷え込んでいた。中途半端に降って溶けかかった雪の道をザクザクと足音を立てながら歩く。


ふと、サイモンとガーファンクルの『冬の散歩道』(A Hazy Shade of Winter)のイントロが浮かんだ。ギターを覚え始めの十代前半に必死にそのフレーズを練習したことを思い出した。しかし未だにポールサイモンのあの感じには遠く及ばない。一方で、もしも、もっと雪がしんしんと降り続いている夜ならば『雪の降る街を』なんかのメロディーのほうがしっくりくるに違いない。雪の降り続く夜は、周囲ののノイズが消えるからだ。


夜の散歩道は昭和のメロディーへ追憶の時間となる。

 


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