北原白秋の「物理学教室裏」という詩に初めて触れたのは確か中学1年の頃、米沢市立図書館だったかと思う。
そこに並ぶ文字は難しく何がなんだか判らないというところに、物凄い引力を感じた。
朧げながら「陰鬱」という感覚をその時初めて文章で味わったような気がする。既に算数や数学が苦手と自覚し始めた自分が「物理」という単語からの連想で激しい理系への憧れも生じていたことは間違いない。
今思えば、自分を理系とか文系とか分けるのもナンセンスであるのだが。
その時、図書館で本を手にしながら、小学校に上がる時分とある病でひと月以上外出と食事に厳しい制限があった頃を思い出した。
何事にも表とウラはあるものだ。メビウスの輪であっても、その表面のある一点から見ればウラがある。
稚拙なアタマをフル回転させて考えてみる。
そう、暗い部分があるからこそ明るさを感じるということに間違いない。
みんな、暗い気持ちになるのは悪いことじゃないのだよ。
子どもの時の厳しい外出制限の気分にちょっと似ていたこのところの感覚。
全国緊急事態宣言が解かれた夜、
「裏」を見つけてそんなことをフと思った。
仙台駅屋上にて。
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