2009年7月15日水曜日

事務所ねこ(ロクとカム)と山猫裁判官

あっという間に7月も15日である。今日の仙台はなんだか蒸し暑い。事務所猫たちも床にいる。奥に居るのがロク。手前がカム。
ロクは事務所関係者からは「さん」づけで呼ばれている。彼は平成7年にヒゲを全部切られて、アゴが外れたような状態で動けなくなっていたところをスタッフに保護された。明らかに人の手によって加えられたものだ。それを6階で見つけたからロク。保護したときにはアゴのトラブルで水も飲めなかった。後遺症なのか、どうも嗅覚もあやしい。そのせいか今は信頼できる人から決まったお皿で、決まった作法でしか物を食べない。しかもその時間を忘れていると、僕の顔に自分の顔を5センチぐらいまで近づけてそっと(爪は決して出さずに)「めしをくれ」とな撫でるような猫パンチをする。嗅覚がやられているとすると、野良猫としては致命的である。 食べ物の鮮度の判断ができない。外では生きられない。
ロクには泣けるエピソードがたくさんある。保護したときに獣医さんの見立てでは5歳ぐらいと言われたから、もう結構な歳である。が、10年前に写真手前のカム(これも捨て猫)がやってきたときに、当時仔猫のカムがお母さん恋しくて、ロクのおっぱいを吸い始めた。3日目にはロクの乳首から血が出てきた。それでもカムはやめない。そして、ロクはじっと我慢し続ける。ちなみにロクはりっぱなオスである(^_^;)
でも、いちばん泣けたのは、昨年事務所猫の1号、ベンジーが13歳で亡くなるときのことだ。闘病の末、お医者さんから「これ以上の治療は難しいですから、お家で看取ってあげてください」といわれ、自宅介護をしているときのことだ。6キロあった体重が2キロまで落ちたベンジーを、ロクは自分の体で連日あたため続けた。最期まで。ベンジーが息をひきとり、冷たくなっていくと、ようやく抱くのをあきらめた。
ボクはあたりかまわず大泣きしてしまった。
写真からも見て取れるように、カムは、体格がロクの倍ぐらいあるけど、決してロクにケンカをうったりすることはない。他の猫たちも同様である。猫たちにリスペクトされているような存在。ゆえにみんなは「さん」づけで彼を呼ぶ。
普段のロクは哲学者のようである。僕はそんな彼に、自分が抱えている様々なことについて、彼の意見を訊いてみたくなる。「言葉になる以前のことば」で彼と会話をする。
JUN_harvestの曲に「どんぐりとい山猫」という曲がある。この曲を歌うたびに、最近は山猫裁判官の姿がロクさんとだぶる。原作で宮澤賢治は、山猫裁判官がどんぐりたちの騒ぎに判決を下せなくて困っている状況下、一郎というこどもに「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」と言わせている。
僕には山猫裁判官が能力がないようには決して思えない。彼が一郎の発言(解決策)を不思議な力で導き出しているように感じる。
そう、きっとロクさんも…

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