2012年7月8日日曜日

ミュージカル「sakura」稽古場実況

本日も稽古場はフル稼働。
この春に若干稽古場スペースを拡張したはずなのですが、それでもこの人数ですとさすがに狭く感じてしまいますな。


ブログ読者のみなさんに、ちょっとだけ稽古場の様子を解説いたしましょう。
SCSのオリジナル作品、その創作現場は、独特の作り方で進んでいきます。
場合によっては、台本よりも先に、役者とダンサーに振付けが施され、と同時に場面が作られて行きます。
その際の振付けのスピードはとても早いので、数人の振付け助手が手早くダンサーたちをまとめて、すぐに場面を固めて行きます。
音楽班との連携も重要な課題。場面の雰囲気、尺、テンポなどを、演出助手がメモしながら作曲家への資料作りを同時進行で行います。

さて、梶賀センセから振付けされた直後、役者たちは間髪を入れず場面ごとにグループに分かれ復習とブラッシュアップが行います。センセの合図で再び、グループが合流してのおさらい。1場面を約40分程度で仕上げていきます。
その間、1分たりとも休憩はありません。
さらに、歌とお芝居の要素が次々と加味されていきますから、稽古場内は騒然としたり、静かになったり…大人も子どもも集中力を持続させることが求められます。
この作業を繰り返して、グランドミュージカルの場面が形成されてゆきます。
もちろん、この驚異的なスピードの場面作りについていくためには、日常のレッスンをしっかりと行って、基本となるパ(型)を出来るだけ習得しておく必要があります。

こうして作られていくダンサーのフォーメーションを基軸とした見事な場面展開は、今でも劇団四季の1972年頃から1985年までにつくられた梶賀千鶴子が関与したオリジナルミュージカルの再演を注意深く観ると、現在稽古場で作られているこの「梶賀千鶴子振付・構成」との共通点を随所で見いだす事ができます。機会があれば現在のSCSミュージカル作品と、過去に梶賀センセが関与した劇団四季ミュージカル作品をあわせて観てみてね。

今日はちょっと制作現場から企業秘密を暴露してしまいました。お稽古場を「アトリエ」と呼ぶ場合がありますが、まさにラフスケッチやデッサンから、次第に大画面の絵画が完成されて行く様子に似ていますね。

このアトリエで行われている通称「梶賀システム」によるこのスピードでの作品作り、こんな調子でかれこれ20年以上続いています。その間、大小含めて1990年以降の梶賀千鶴子台本によるオリジナル作品の本数は140本を超えました。

尚、舞台スタッフからは「梶賀マジック」とも呼ばれるこの手法。一方で制作サイド泣かせの一面もございます。キケンですので良い子は決してマネをしないように(笑)

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