2020年6月29日月曜日

この季節の色合い

梅雨どきというものは「鬱陶しい」と、ひとくくりにしてきたような気がする。
しかし、先日ふとしたことから祖父母の住んでいた家の裏庭にあった紫陽花のことを鮮烈に思い出した。もう半世紀以上前のことなのに、その色、花びらの水滴、土のにおい、なぜか克明にインプリンティングされていた。

この季節には、今しか感じ取ることのできない独特の色合いがあるものだ。特に、曇天のまま陽が落ちてゆく時間の水辺。届きにくい太陽光と水分の多い空気があいまって、目に入ってくる緑がとても深い色に感じることがある。
この時間の光の強さと色合いには、不思議な魅力がある。


しばし、その場に佇んで景色に見入っていた私。
ずっと鬱陶しいと思っていた梅雨も、
いつの間にか好きになっていたのかもしれない。

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