2013年11月10日日曜日

支えられ、励まされ

人は 一人では生きてゆけないものです。
誰かと必ず支え合っているものだと感じています。

極限状況におかれていた、かつての小野田寛郎さんや横井正一さんだって(これらのお名前を知らない世代が増えてしまっていると思いますが…)お二人なりの精神的な支えがあってこそ孤独に耐えられたのではないのだろうかと想像しています。

さて、昨日京今日と上演した七ケ浜町での『KIZUNAⅡ』舞台、お陰さまで無事大盛況のうちに幕を閉じることができました。
その「お陰さま」の話題。

この絵(マップ)をご覧ください。


七ケ浜国際村の高橋事務局長が、ミュージカルに出てくる地名を元に可愛らしい地図を描いて下さいました。お客様全員にお配りしたのですが、出演者、スタッフにも大好評。
手書きのあったかい絵と文字が、舞台の楽しさをさらに盛り上げて下さいました。

舞台は沢山の方々に支えられていることは言うまでもありません。
一方こちらは、こちらは舞台袖。


一瞬しか出番のない「焚き火」のセットを出すためにスタンバイをしているところです。
出すタイミングが1秒ずれても、観客の印象が変わります。舞台袖には、こうした道具方のほか、照明、音響、進行、衣裳、メイクなど、大勢のスタッフが出演者同様、いやそれ以上に緊張の連続が強いられています。

さらに、今回はすんごいサプライズが準備されていました。
何と東京・世田谷にお店を構える「寿司の宮城野」さんの親方が、お弟子さんら5名で早朝車で東京を発ち、800個以上もの寿司ネタとともに、公演会場へいらして下さいました。


親方とはNaNa5931の日生劇場公演の際、打上げでお寿司を振舞って頂いたご縁がありました。東京公演をご覧いただき「頑張っている七ケ浜の子供たちに江戸前の寿司を届けたい」とおっしゃって下さいました。
しかしながら、何しろこちらは、出演者、スタッフを合わせると100名を軽く超える所帯です。
お申し出は、にわかには信じがたく、かつもし本気でおられるのなら相当なご負担をおかけすると、恐縮しておりました。
ところが親方は、笑顔で千秋楽の会場においでになり、観劇された後、江戸前の最高級のネタと最高級の技術で、私たち一人一人に延べ2時間近くもかけて、自らお寿司を握り、私たちを激励してくださいました。


握ってくださったホールロビーは、震災直後の3ヶ月ほど避難者の方が寝泊りをされていたところ。今は、何事も無かったように綺麗なロビー。そこで親方は子供たちにも敬語を使いながら実に丁寧に、手際良くお寿司を握って下さいます。


私は、食べたいものが食べられなかったあの時期のいろんな思いが交錯して、自然に涙が出てきました。しかも、ネタは明らかに最上級。美しい玉子焼きも既製品ではありません。新鮮な魚介類を食べ慣れている地元の方でさえ唸らせる美味しさ。


図らずも東北の海の町で、江戸前の寿司職人の気概と品格を目の当たりにさせて頂き、私たちにとって間違いなく「記憶に残る」夜となりました。
言葉は多くを語らない親方の心意気が、震災後私達が抱き続けている漠とした不安感や寂寥感、孤独感などを少しづつ拭い去ってくださるように感じました。

そんなことを考えていたら、お寿司を頂く行列のから「あ、純さん、写真撮って!」と明るい声が。


本当に沢山の皆さまから支えられ、励まされ、文字通り「おかげさま」で、
子供たちの笑顔がさらに大きく、広がっていくように感じています。

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