2014年10月6日月曜日

美しい夕焼けも見ないで

一昨日、一番町でのイベント本番ステージを終え、急ぎ車を走らせた。
場所は七ヶ浜町の海岸近くの高台に建つ木造の家「ジレットハウス」。東北学院大学「俳優修業ゼミ」の合宿会場だ。
このゼミには芸術顧問として参画させていただいて、その理由から、毎年ゼミ合宿の時には、
主にキャスティングアドバイザーとして参加している。

合宿場に到着すると、来年公演する「ヴェニスの商人」キャスティング・オーディションはすでに一部開始されの熱気に溢れていた。ちょうど課題の演技を教授の前で披露しているタイミングで、学生側からもほんとにすごい熱気を感じた。
仕事とはいえ、遅れて到着した僕は、その雰囲気にちょと呑まれそうになりつつ挨拶代わりに「夕焼けがとてもきれいで…」と言ったら、下館教授が、学生たちに「ほほう、それじゃ、ちょっとブレイク。外に出て皆で夕焼けを観よう!」と号令をかけた。


学生たちは張りつめたオーディションの空気からひとときの解放を楽しむがごとく、少しはしゃいで西の空を眺めていた。

僕は、何だか昔教科書で読んだ吉野弘の詩を思い出していた。
あの詩の状況や意味とは違うけれど、
確か夕焼けとという詩の最後の行。
「美しい夕焼けも見ないで」


葛藤し、挑戦する若者たちの姿は美しいのである。

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