2016年5月16日月曜日

図書館の思い出

幼い頃、通っていた小学校と自宅の中間地点に、市立図書館がありました。
上杉神社の隣、お堀端の旧上杉伯爵邸そば。入り口にあった白い大きな神殿風の柱を今もはっきりと覚えています。

学校のある日は、その図書館にいつも通っていたものです。
夏のあいだは、お目当てがもうひとつありました。それは隣の上杉神社を囲むお堀でザリガニ釣りやエビや小魚を捕まえたりすること。
ランドセルの中には、いつもザリガニを釣るときのえさになるスルメをこっそり忍ばせておいていたものです。日がたつとなかなか香ばしい匂いが漂ったりしていましたが、子供の頃は細かいことはあんまり気にしないもの。大人になったら絶対にしないようなことに価値を見出しているのが子どものすごいところです。
今は稽古場で子どもたちと交流していると、時々そのすごさに感服します。

さて、当時本を借りるときには、なぜか背伸びして高校や大学のお兄さんが読みそうなものをよく借りていました。しかし、中身は子ども。遊んでいるうちに空腹になり、文字は頭に入らなくなります。図書館で本を読んだり、釣りをしたりすると、あっという間に日暮れです。急いで家の前までたどり着くと、台所方面から漂ってくるのは…カレーライスや、チキンライス、はたまた焼き魚?その日の夕餉のメニューが、夕焼けに染まった窓からはみ出している匂いで想像つきます。

このように僕にとっての図書館は、幼い頃の遊び場でしたが、昨日は、思いがけず仙台市泉区にある宮城県図書館に伺う機会を得ました。


恥ずかしながら、そこにちょっとしたホールや、野外劇場にも似た設備、そして図書館のそばに遊歩道があることを知りませんでした。光栄にも館長さん直々にそうした館内をご案内いただき、その遊歩道のみどりのトンネルを歩いたりしました。 皐月風が爽やかです。館長さんとは久しぶりの再会。舞台や音楽、さまざまな話題に花が咲きました。図書館では私のCDも借りることができるのですね。新鮮な驚き。
館内では子どもたちへの読み聞かせなども行われていました。


一方で私は、歩きながらなぜだか「本がたくさんある場所のそば」という、
なんともいえない、不思議な安心感を得ていました。


そして、
図書館を巡る幼い頃の記憶が、
遊歩道の木漏れ日がゆらゆらするたびに蘇り、
二度とかぐことのできない、
懐かしいチキンライスの香りを呼び戻してくれました。

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