2016年5月2日月曜日

曇天の夕暮れに

連休谷間です。
ラッシュアワーの街は、
こどもの姿もチラホラと、
いつもより華やいで見えました。

赤信号で停車したのは、
デパート近くの大きな交差点。
目の前の長い横断歩道を、
小さな女の子が、
真っ直ぐに手を挙げて、
背筋をぴんと伸ばして、
通ってゆきました。

フロントガラスの右端から左端へと。
パパと手を繋いだままに、ニコニコと。
女の子は通ってゆきました。

連休谷間にも、パパは休みを取ってくれたのかな。
楽しそうに膝を一寸高く挙げて、
交互にしっかり地面を踏んで。
まっすぐ挙げた腕の先は、天に向かっているようでした。

そして、その指のずっと先は、曇天でありましたが、
私には、そこは灰色の空ではなく、懐かしい美しい夕焼けの空のように見えました。

人生の途上では、
守るべきものが増えた気がして、
ハンドリングに迷うこともあります。

けれども実は、それらに守られている、
守るつもりが守られている。

そんな気づきの瞬間もあるものです。

信号は青に変わって、周囲のクルマは一斉に動き出します。
もちろん私も、アクセル踏んで。

それにしても、
いつの頃からなのでしょう。
わたしもあなたも、
横断歩道で手を挙げなくなったのは。


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