仙台も昨日梅雨入り宣言があった。
全体が湿気で覆われたような街に向かって
事務所のビルから外に踏み出し、傘を広げた瞬間、
突然思い出した。先月末の金沢でタクシードライバーが、「昔はねぇエアコンなんぞ無かったから『洗濯物がなかなか乾かないわ』って、転勤族の奥さんたちは嘆いていたもんです。」などと、言っていたことを。
訪れた日の金沢は、晴れていたけれど、夕刻は、なんとなく湿気を感じる佇まいだった。
写真を撮ってみると、泉鏡花の世界を想起させる絵になる。
不思議な町である。
説明不能の引力を備えている場所。
私は町にぐっと引き込まれた。
まるで「金沢の文学」という重力波が時空を歪ませているようだ。
文豪たちにこの湿度の高い感じは必要だったのであろう。
ぼんやりと、そんなふうに想い、 金沢の空気感を反芻してみた。
梅雨時はみんながいやだというが、
今年、私はこの時期を、我が来し方行く末を想いつつ、
その湿気をひっそりと愉しんでみたい。
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