「東北新幹線の車窓から富士山が見えるんだよね」
以前友人からそんな話を聞いて
「えっ、ほんと?」
僕はすぐには信じられませんでした。
なぜなら、東北新幹線は、開業以来何度も、
恐らく100回近くは乗っているはずなのに
富士山など見た記憶が無かったからです。
ところが、一昨日、
市村正親さん主演の「家康と按針」観劇ツアー途上。
(感動し泣けた市村氏の演技と作品の感想はいずれあらためて)
「はやて」号にて仙台から江戸にで向かうとき、
大宮辺りだったでしょうか。
ツアーに同行の友人が、
「あっ」と小さな声をあげました。
「富士山。」
「えぇっ?」っと、僕。
進行方向右手に目を向けると、
次々と変わる車窓から
遠くに白い山が見え隠れしています。
「まさか!ほんと?」
僕は急ぎカバンからコンパクトカメラを取り出して、
隣の席で熟睡する梶賀センセを跨ぎ、デッキへと移動しました。
すると、見て下さい。
ついに、見ました!
東北新幹線から見える真っ白な富士山。
なかなかシャッターチャンスが難しい。
やっと撮ったのがこの写真です。
興奮しました。
デッキの枠が写真に写っているのはその証拠です。
東北に住む僕にとって、
富士山は「観に行くもの」
だと思っていました。
まさか「見えるもの」
だとは。
この興奮は
「日本一の山」と日本人である僕のDNAにインプリンティングされていたせいでしょうか。
はたまた白い富士山を見たのは生まれて初めてだったせいでしょうか。
いやいや、単にそれだけではありません。
席に戻ってから、考えました。
「見えているのに見逃していたのだ!」
これは、ある意味で人生におけるショックです。
これまでの人生で、
僕はどれだけ大事なものを見逃してきたのでしょうか。
ひょっとすると、
すごく大切な事柄や、美しい瞬間をいっぱい見逃して、
すごく大切なメッセージなんかにも気づかずに、
ここまで生きてきたのかも知れません。
見つけた友人を尊敬するとともに
日常における自分のアンテナ感度の悪さに愕然。
せめて残りの人生では、もっと感度を上げて生きなければ。
せっかくまだこの世に「生」を与えられているのですから。
そんなことを思いながら、
昨夜はベランダでひとり流星を探しました。
ふたご座流星群がピークとニュースで知ったので。
明るい流れ星2つ見つけました。
けれども「見逃している」流星も無数にあったはず。
この星に今存在しているという
不思議な感覚と、
二度と戻らない「時間」を感じながら、
そして「見逃すまい」と、
もっと観ていたかったけれど、
寒さと眠気に勝てませんでした。
ま、人生こんなものかもね。
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