2013年2月8日金曜日

記憶に残るTKG

TKGって、何かご存知ですか?
Tamago Kake Gohanの略だそうです。
3年ぐらい前に知りました。

さて、僕の記憶の中で最高のTKGは、まだ10歳に満たない頃に食べた「たまごかけご飯」
それは、TKGなんて軽い言葉でいえるような代物ではありません。
食べた場所は父の実家。現在の山形県上山市中山地区にあった家です。
立派な茅葺き屋根だったその家の敷地内には、豚舎があったり、蔵があったり…家の中にまで「川」が引き込まれていたこともびっくり。昔はその川で洗濯や洗い物などもやっていたらしい。
あ、思い出してきた。
お風呂を湧かすための薪の匂いや蚊取り線香の匂い、どこからともなく忍び込んでくるわら焼きの匂い、冬場の掘り炬燵の炭の色。やたらと高い寒々とした天井。茶の間の空気になじんでいた猫。そうだ、母屋から離れたところにあるトイレに行くのは恐怖だったなぁ。夜は、いとこに一緒についていってもらったけ…。

農家であった父の実家では、自分のところでつくったお米を「かまど」で炊いていました。
まず、薪を使ってご飯を炊く事に衝撃。
麦を少し混ぜたお米が炊きあがると、おばあちゃんが、大きめの卵をご飯と一緒に持って来てくれます。
庭の方から鶏の声が聞こえていた記憶があります。きっとあれも産みたての新鮮なものだったのでしょう。
それに「たまり醤油」をかけていただきます。お味噌も自家製でしたから、いわゆるほんとうの「たまり醤油」です。おばあちゃんは単に「たまり」と呼んでいました。とにかくすべてがその家でとれた食材による「本物のたまごかけご飯」です。

「ご飯」「たまご」「醤油」
たった3つの材料ですが、それぞれの本物の味、そして、それぞれが食卓に上るまでどれほどの時間と人手を要するのか、それを幼い僕に「体感」させてくれた「おばあちゃんのたまごかけご飯」です。
さんざん周囲の山や川で遊んだ後で、腹が減っていた事もあったのでしょうが、それはそれは、今思い出しても涙が出るほどうまかったのです。最高の味でした。

翻ってTKG。
あの茅葺き屋根の父の実家もおばあちゃんも、今はありません。もう二度とあの本物のたまごかけご飯は食べる事ができません。
もし、あの味に近いクオリティのものを再現しようとしたら(もう、大気や水の環境から言って不可能ですが )、とんでもない高級品になることでしょう。

でも、やっぱTKGは好きなんだよね。
試しに、TKGでググってみてください。
たまごかけご飯に凝ってる人は世の中に沢山居るんですねぇ。

先週、事務所近くの居酒屋で食べたのは、そのバリエーションのひとつであろう
「スタマヨTKG」



鳥の唐揚げ、タマネギ、マヨネーズがトッピングされています。
周囲に「デブになるよ!」と脅かされながらも、ついつい全部食べてしまうのでした(ーー;)


でも皆さん、現在のTKGは、僕にとってフェイクのたまごかけご飯です。
あぁ、今の子どもたちに、あの「本物」を味あわせてあげたいものです。

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