土日のSCS稽古場は子どもたちの元気な声で溢れている。
わずか9歳で、初舞台を踏む前日、津波にいのちを奪われた茜音(あかね)ちゃんも、本当はここで、元気に春の舞台へ向けてレッスンに励んでいるはずだった。
今年の3月11日は月曜日だから、レッスンがない。したがって、今日明日の各レッスンが始まる前に、あかねちゃんや、2年前の大震災で失われた家族、親戚、友人たちにこうして黙祷をささげる。
SCSミュージカル研究所は、創立以来、一貫して「いのち」の大切さをテーマにして創作活動を続けてきた。私たちの活動は、そのテーマを軸に、生きていることの楽しさを表現することを目的のひとつとしている。
また、子どもたちの個性に応じて、その成長過程に応じて選択肢を見せてあげるのが私たちの使命だと感じている。その選択肢のなかの一つを選んだあとの子どもたちの生きるエネルギーを支えるために、稽古場では厳しいレッスンも続けられている。
舞台は表現活動であると同時に、相手に伝えるというコミュニケーションの手段でもあり、それは彼らが生きていくうえでとても重要な能力となる。
稽古場で子どもたちは、学校や家庭とは違った意味での厳しさや愛情をセンセから受け取る。
一方、3階にある事務所には、次々と「卒業しました!」「進路が決まりました!」と、研究生たちが挨拶に訪れる。
彼らの顔は、一様にきれいに咲いた花のように見える。
そして、彼らの報告のひとつひとつが自分のことのように嬉しくなるのだ。
2年目のあの日が近づいて…。
SCSのセンセたちは、子どもたちのこころの動きに神経を張りながら、センセたちもそれぞれに2度目の3.11を迎えようとしている。
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