「俳優修業ゼミ」という一風変わった名前のゼミナールがあります。
東北学院大学教養学部、下館和巳教授のゼミの名称です。
私の職業柄、俳優を目指す者たちに接する機会は多い。
昔も今も、地球上のいたるところで「演劇」もしくは演劇的な時空をつくりあげる作業は続けられています。 俳優になれるチャンスというのは、実は意外に多いと感じているのですが、そのチャンスを掴み、本当に俳優を職業としていく者はごくわずかであります。
そんな険しく狭い道でありますから大学においての研究や探求の対象になりうる、ともいえるかもしれません。
このゼミでは「俳優を目指す勉強」の中で、様々な角度から、文学はもちろん、言語学、表現法、そして、舞台に関わる多様な業界の知識、人間関係を構築する様々なテクニックを探求するチャンスを得ることが出来ます。将来職業とならずとも、現代人の歴史上、常に存在し続けている演劇や、舞台というものを通じて、学んだり、気づいていくことは多いと感じています。
ゼミの担当教授である下館氏は、シェイクスピアやダンテ研究の専門家であり、シェイクスピアカンパニーという劇団の主宰者でもあります。故にゼミの内容もシェイクスピアを軸としたプログラムが組まれ、今年のゼミの学生たちは「十二夜」の翻案に挑戦し、上演を目指しています。
その作業のなかで、これから彼らが社会に出るために、実はもっとも必要な「自分を見つめること」や「チームワークの取り方」などを学んでいくことになるでしょう。
実は私、この「俳優修業ゼミ」の芸術顧問を仰せつかり、2年前から時々ゼミのお手伝いをさせていただいています。芸術顧問などというと、たいそうな響きですが、浅学の身ゆえ経験から得たものしか持ち合わせていません。実際には主に舞台制作を生業とする立場から、ゼミの進行に伴って発生する専門分野での課題や表現に対してのアドバイスをするという立場です。むしろ私の方が学生のみなさんとの交流やものづくりを通じて気づくことや学ぶことが多く、たいへんありがたい時間をいただいていると感じています。
さて、一昨日の夜は、そのゼミの4年生が合宿&交流会を催すというので、仙台市内のとある場所へと、夕方から事務所を抜け出し、出かけてきました。
1時間程度、舞台用語や業界用語、舞台制作に関するエピソードなどを交えたレクチャーを実施した後、夕食。
デザートは、下館教授差し入れの「高級ショートケーキ」の時間。
どれを選ぶかは「王様じゃんけん」で決定。
写真手前のケーキの争奪戦です。王様じゃんけんなんて、ひさしぶり。皆小学生に戻ったような雰囲気で大いに盛り上がりました。
食事の後は、部屋を移しての、いわゆる「コンパ」。
意外にみんなお酒をあまり飲まないのね~。
(かくいう私も仕事の関係上、クルマで駆け付けたのでウーロン茶でしたが)
ほとんどが缶チューハイ1本ぐらいで十分なんだそうで。
聞けば、今の学生たちはタバコを吸う者や大酒飲む者は、ほとんど居ないそうです。
自分の学生時代とは大きな隔たりを感じつつ、我々の世代は前近代的な人種となってしまったのかなぁ…などと考えていました。
そして、バブルがはじけた後に生まれ育った彼ら、二十歳の時に震災を体験した彼らの前途を想うとき、勢いのあるニッポンをとりもどすために、我々の世代に出来ることが、まだ少しあるように感じました。
世代を超えて伝えなければならないことが。
外は雨でありましたが、話は多岐にわたり笑い声の絶えない明るい時間。
気が付くと、あっという間に夜は更けていたのでありました。
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