2014年3月9日日曜日

未読

幼いころは、家と学校の中間地点くらいに市立図書館があった。
たいした用事もないのに、なぜかその建物の佇まいに惹かれた私は、学校帰りにランドセルを背負ったまま頻繁に図書館に入り込んだ。そのうちに「借りる」ことを覚えて、いろんな分野の本を読み漁った。
図書館の前には上杉公園。
そのお堀端では、ザリガニを釣ることができた。
ザリガニと本。
妙な取り合わせだったけれど、小学生の私には夕暮れまでの至福の時間でもあった。

ある時、借りてきた本を読んでいると、母親から「そういうのは、まだちょっと早いんじゃない?」と言われた。読んでいたのは三島由紀夫の「金閣寺」。
母親の言葉の意味は、恐らく、小学生には文章が難しいという意味だろうと当時は思っていた。
ガキのくせにちょっと難しそうな本に手を出すのが好きであった。特に気に入っていたのは、川端康成、森鴎外、井伏鱒二など。今になってみれば、母親の言外には別の心配があったのかもしれない。

最近は本を読む時間より、PCに向かっている時間が圧倒的に多い。
そんな中でも、本を買うこともたまにある。
しかし、なかなか読む時間をとれない。最後まで読み切っていない本が増えていく。

今日は、事務所の棚をちょっと整理しているとき、この本に出会った。


これは友人から1年半ぐらい前に頂戴したものであるが、その時は友人に関連する部分だけ読み、後で読み直そうとそのままになってしまっていたものだ。
早速、読み始めた。
面白い。

イギリスに行きたくなった。
ロンドン、ケンブリッジを巡ったのは2003年ごろ。
もう10年以上もイギリスに行っていないのだなぁ。

本を読みなおして、ちょっと旅をした気分になった。
PCの前に居る時間を何とかページをめくる時間にシフトしたい。

「未読」の本は、山ほどある。


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