2020年12月6日日曜日

うつせみ

 30年前につくった曲を、この秋のコンサートで歌った。空蝉の殻の中に在るものは、未だに何も変わっていないような実感を持った。時代はずいぶん変わったのに、それは、変わらないのか、私が成長していないのか…。

一方、日めくりはあっという間に12月の数枚が剥がれた。過ごした実感のないような2020年が、非接触のまま、目の前を通り過ぎてゆく。



2020年11月29日日曜日

人の振り見て

劇場でのレッスンを行っていると、いつもの稽古場では気づきにくい発見をすることがある。

この写真は、来月の舞台のある場面の稽古の様子だが、客席前の方では、舞台にいる役者・ダンサーたちを指導にあたっているSCS指導員たち。指導員たちはとても若いけれど、センセの元で全員12年以上ミュージカルづくりの指導を受けてきたセンセの愛弟子たちだ。それを後方から見守る梶賀センセ。



今や稽古場やリハーサルは、完全に指導員チームの主導によって行われるが、センセは指導員たちの動きと舞台の動きを同時に見ながら、的確なアドバイスを繰り出していく。
研究生と指導者の育成を同時進行している図である。

そして写真を撮った私の周辺には(写真には写っていないが)多くの研究生たち。センセと指導員たちによる稽古進行の様子を見守っている。

この時間は、研究生たちにとって、とても大切な時間。「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがあるけれど、まさに舞台の上の人たちの「振り」をみて、自分が同じ場面に出ていたらどうするだろうか、どう見えるのだろうかと考える良い機会なのである。

2020年11月23日月曜日

愛情いっぱい最高のネタ

東日本大震災の翌年からずっと、津波被災地七ヶ浜町のミュージカルグループNaNa5931(ななごーきゅーさんいち)に頂いているご支援。
東京・世田谷にあるお寿司屋さんによる毎年七ヶ浜ミュージカルの舞台公演に合わせたお寿司の出前です。単なる出前ではありません。お寿司屋さんがそのまま「出張」してくださるのです。ネタは東京で仕入れた極上のものばかり。子ども達に最高の江戸前寿司を味わってもらおうと、すべてを自費でまかなってのご支援です。



「寿司屋の宮城野」の親方、稲村さんは、高倉健さんのように口数は少ないけれど一本筋の通った、そして日本一あったかい心を持った親方です。

このご支援の発端は、2011年の東日本大震災の直後に創られた、メイド・イン・七ヶ浜のミュージカル『ゴーへ(Go Ahead)』が、日本生命様やNPO法人のレスキュー・ストックヤード様はじめ多くの企業、団体のご支援を得て、東京の日生劇場にて上演が叶ったときに、稲村親方率いる「にぎり隊」の皆さんが終演後に出演者・スタッフ全員に、 お寿司をふるまっていただいたことにさかのぼります。

今年はコロナ禍でNaNa5931の本公演はできませんでした。ある意味肩を落としていたメンバーに「今年もお寿司を握りに行きますよ」と連絡をくださった親方のお申し出に、皆大喜び!昨日ついに実現したのでした。

例年のように、みんな集まっていただくのではなく、今年は一人一人が持ち帰って食べてもらえるよう折詰にしていただきました。

好きなネタを注文して折詰を頂くのも、小さなグループに分けて、時間差をつくりで密にならないように。




NaNa5931とそれを擁する七ヶ浜国際村職員の皆さんは、親方ご一行に特別のパフォーマンスを準備して、御礼の気持ちを表しました。もちろん、全員マウスシールドつけて、最大限の換気を行いながら。





最後に、我らが誇る舞台衣装製作最強チーム「七ヶ浜おはりこーず」の皆さんから、お寿司キャラの特製マスクが、握り隊の皆さまに贈られました。こちらもお母さんたちの愛情いっぱい最高のネタがデザインされています。





時を経ても私たちのことを、震災で大きなダメージを受けたことを忘れずにいて下さりご支援いただいていること、そのご厚情に対して感謝の気持ちをつたえること、そんな双方のやりとりを見つめていたら、いろんなことが思い出されて、ありがたくて、目頭が熱くなる私がいたのでありました。

寿司屋の宮城野の皆さん、今年も本当にありがとうございました!


2020年11月21日土曜日

コーラスライン

『A Chorus Line』。1975年、ブロードウェイで初演。1979年に劇団四季により日本初演が実現した作品です。

ブロードウェイで大ヒットしたこの作品の日本初演が劇団四季により実現した際、梶賀千鶴子先生(現SCSミュージカル研究所芸術監督)は、劇団四季の文芸部に在籍し、故浅利慶太先生の日本版演出の演出補として活躍しています。

当時、梶賀先生は日本版を作るにあたり、ニューヨークに渡り『コーラスライン』の作・演出・振付を担った故マイケルベネット氏から、同作の振付や演出の直接指導を受けたそうです。そして帰国の際は衣裳の一部(最後の場面のタキシード風衣裳)とともに劇団四季に持ち帰ってきたとのことでした。先生の話によると、マイケル・ベネットさんの指導は大変緻密なもので、文字通り「LINE」に関しては特に厳しい注文があったそうです。ご自宅にうかがった時には、ほとんどが鏡張りの独特のお部屋に驚いたとか。そこで、マイケルさんに鏡張りの理由を尋ねたところ「このほうが(鏡張りの部屋が)落ち着くんだ」と、おっしゃったそうです。そういえば『コーラスライン』では、鏡を大胆に使った演出が有名ですね。

さて、今週はその『コーラスライン』日本版の仙台公演初日。梶賀先生と共にお招きいただきしっかりと堪能させて戴きました。個人的にこの作品は、舞台でも映画でも何度も観ていますが、全てにおいて大変質の高い作品であることはもちろん、シンプルな舞台装置は、観るたびに何か我々舞台制作者の核心を刺激させられるような思いがいたします。


今回の公演では入場時の検温、消毒はもちろん、劇場を出る際には密を避けた座席指定の退場となるなど、入退場の際の感染防止対策にも安心感がありました。
さらに(それはいつもの光景ではあるのですが)終演後、劇団四季の会長、社長、役員のみなさんが、最後の一人のお客さまが劇場を後にされるまで頭を下げて御礼を言ってお見送りされておられました。
このコロナ禍における舞台公演。即ち仙台の地に質の高い舞台を持ってきてくださるのは並大抵の努力ではなかったであろうと容易に想像できます。
しかし、役員、スタッフの皆さんが総出で公演を支えるその姿に、劇団四季の皆さんの並々ならぬ決意と共に、演劇に対する情熱的でかつ真摯な取り組みがいつにも増して伝わってくる印象的な場面でした。

私も大いに勇気づけられ、我々も何としてもこのコロナ禍を乗り越えなければ、と勇気が湧いてくるような公演でありました。




2020年11月10日火曜日

秋深し

実家の庭を何気なしに歩いてみたら、かつて母が育てていた秋の花たちがひっそりと花を咲かせていました。



カメラに収めようとしたところ、ブーンと飛んできたものがありました。
ハナアブでしょうか?ハチではないようです。



小さな虫ですが、間接的に私たちのいのちにも大いに関わっていますね。いのちは循環しています。写真撮っても良いかな?と話しかけたところ、じっとしてくれていたので、遠慮なく1枚撮らせていただきました(笑)

家の裏手にまわってみると、鮮やかなオレンジ色の柿の実がたくさん。



おいしそうです。しかしながら収穫したところで、私には手に余る代物。これはもう自然の循環、いのちの循環に任せて、このまま放っておくしかないかな。

秋深し。



2020年11月1日日曜日

そろりそろりと

あっという間に11月。
今年も残すところ…なんてフレーズが聞こえてくる季節に突入です。

さて、今週はコロナ禍で、まったくレッスンや指導ができていなかった米沢のミュージカルグループ「伝国座」のお稽古は、関係の皆さまのご尽力により、一昨日ようやく再開にこぎつけました。





消毒やマスクなど基本的なことはもちろん、広い会場で、換気や間隔を保った状態でのお稽古です。まずは、なまった身体を戻していくことから。

そろりそろりと、
現状出来うる最大の安全確認をしつつ、
前に進みます。

2020年10月24日土曜日

行きたしと思へども

いぎりすへ行きたしと思へども
いぎりすはあまりに遠し
せめては古き地図をみて
きままなる旅にいでてみん。

替え歌ならぬなんちゃって「替え詩」で遊んでいます(^^)
元ネタは、ご存じ萩原朔太郎先生の『純情小曲集』より。
何せ純情の純ですからね。

コロナにて『旅上』ならぬ「無常」でありますなぁ(笑)


2020年10月22日木曜日

活路

七ヶ浜のお稽古場。
本来であれば、来月はミュージカル公演のはずでしたが、今年はその定期公演を断念しました。コロナ禍です。

しかし、お稽古はゆっくりと開始しています。メンバー全員来年の公演実現を夢見て…。

先週までは

1、マスクの全員着用(稽古中も)
 
2、施設入り口での検温

3、入り口ならびに休憩時間でのアルコールによる手指の消毒

4、稽古時間の短縮
 
5、可能な限りの場内換気 

を徹底してしていただいてました。
そして今週からは

6、稽古場となるホール入り口での靴底消毒


 
7、液体せっけんによる全員の手洗い



対策が追加で行われています。
スタッフの皆さん全員が、子ども達そしてメンバー全員を、全力で応援してくださっています。

正しく恐れ、希望を見失わないように。
そして困難に直面した時に「どうやって活路を見出してゆくのか」を身をもって示してくださっています。
 
稽古場で私からメンバーへは、免疫力の低下を招かないよう、栄養バランスの取れた食事と年齢に応じた睡眠時間の確保、身体を冷やさないことなどをお願いいたしました。
 
東日本大震災での絶望的な状況を乗り越えてきたこの劇場スタッフの皆さまならではの、知恵と力に感謝申し上げます。
 

2020年10月21日水曜日

Quite breathing

 2ヶ月うちに5作品、10ステージを上演した我々はしばし、休憩モード。

急ぎすぎるとろくなことはない。急速充電を繰り返すことが電池の寿命を縮めることもあるそうだ。そこで、今週は休息充電! などと、一日ゆっくりしただけでオヤジギャグを考える余裕も出てきた(笑)

さて、ここ数日で急に秋めいた気候になった。

事務所近くを散歩しながら、昨夜、英国ケンブリッジに住む友人とZoomで話したことを思い出した。ケンブリッジも今は仙台とさほど変わらない気温だとのこと。

そして英国という単語でさらに思い出した。すなわち私は学生時代に英国ロマン派の詩人たちの作品に触れる機会があった。夭折の詩人、ジョン・キーツ の有名な一節を初めて目にしたのもその頃である。そして何故かその音律は私に秋を連想させるのである。初めて読んだのが秋だったからだろうか。いつか秋のケンブリッジも訪れてみたいものだ。

A thing of beauty is a joy for ever: 
Its loveliness increases; it will never 
Pass into nothingness; but still will keep 
A bower quiet for us, and a sleep 
Full of sweet dreams, and health, and quiet breathing.

これは『Endymion』冒頭の一節。初めて読んでから約40年。この頃ようやく、quiet breathing という部分が実感としてわかり始めた。

キーツ  のことは映画にもなっている。「休息充電」ついでに、書棚からDVD引っ張り出してPCで観た。





ラストシーン、喪服姿で、キーツの詩を口にしながら冬枯れの森を彷徨うように歩くフィアンセの姿、そこからエンドロールへの流れは、何度観ても泣けてくる。


2020年10月16日金曜日

ほんのり

おかげさまで、先月の舞台公演再開は無事でした。

今日から再び劇場入りです。今月の公演も無事に、安全に、楽しく千穐楽を迎えられますように。

昨日は、2時間ほどの隙間を見つけて秋保温泉のお湯に入ってきました。
温泉街の木々もほんのり色づきはじめ、

ほんのり人影も戻ってきているようです。



短い時間でしたが英気を養うことができました。
観光、宿泊業も大変なようですが、国難ともいえるこの局面をともに乗り越えていけますように。