2025年10月30日木曜日

32年前のトロントにて

目下、TVでもネットでも海外のスポーツニュースは野球のMLBワールドシリーズでのドジャースとブルージェイズの話題で持ちきりである。この原稿を書いている時点で両者2勝2敗。

さて、ブルージェイズは32年ぶりのリーグ優勝でのワールドシリーズ進出とのこと。私はまったく野球に詳しくないのであるが、ブルージェイズという名を聞いて思い出した。32年前の1993年秋、私はトロントに居た。

なぜなら、我がSCSミュージカル研究所の代表作のひとつにもなった『TAROH』というミュージカルをトロントで上演したのである。公演会場のジョン・バセット劇場(1,330席)は試合が行われる球場のすぐとなりにあった。
そして、下記当時の現地新聞の日本語版記事の中にもみられるように、上演日はトロントで開催されるワールドシリーズの第二試合と重なった。トロント市民の熱狂は街なかでも感じられるほどであった。「もう、みんなブルージェイズの試合観るのにTVの前から離れないだろうなぁ、日本から来たアマチュアのミュージカルなんて観に来る人はいないかも(笑)」などと、不安とも現実ともとれる言葉を現地スタッフと話しながら当日を迎えたことを覚えている。


結果、当日は満席にはならなかったものの、以下の写真のようにたくさんのお客さまに恵まれて、終演時にはスタンディング・オベーションをいただくほど盛り上がった。

我々にとって初の海外公演であったが、多くの皆さまのお力添えをいただき、大成功と言って良いと思う。大小様々なトラブルや困難を乗り越えての上演は、個人的にその後の舞台プロデュースや上演活動に大いに役立つ経験であった。

翻って2025年のワールドシリーズ。
32年前そんなこともあってか、うちのスタッフには、ゆかりのあるブルージェイズをひそかに応援している者もいるようだ。ひそかにというのは、相手のドジャースには、ご存じお隣の岩手県出身の大谷選手と佐々木選手がいる。周囲はその2人の活躍に連日一喜一憂して大盛り上がりだからである。
勝利の女神がどちらに微笑むのか、野球オンチの私には予想もつかないが、大谷選手と佐々木選手の活躍は我々東北人に、明るい話題と勇気を与えてくれていることは間違いない。


仙台での壮行会(中央で歌う筆者)

トロントでの移動中
(左から、照明の石川紀子さん、作・演出・振付の梶賀千鶴子さん、音楽と音響の幹アトムさん、筆者、随行ジャーナリストのブラッドリー・コックスさん)

トロントの街角で
(左は音楽家の榊原光裕さん、その隣は舞台進行担当でSCS創立メンバーの松沢幸男さん)

出演メンバーのスナップ1

出演メンバーのスナップ2

当日会場の様子

当日会場リハーサルにて
中央がSCS創設メンバーでTAROH役の藤田和正さん

2025年8月24日日曜日

35年

  ちょっとブログの更新ペースが緩慢になっておりますが、FacebookInstagramXのほうでは、SCSミュージカル研究所の情報とともにちょこちょこ発信しております。

 さて、今年はSCSミュージカル研究所をつくって35年目になりました。先月仙台市内にある日立システムズホールにて、その記念公演として『KAI』(作・演出・振付=梶賀千鶴子、音楽=ヒロセ純)という新作ミュージカルを上演しました。

 おかげさまで、満席となる回も出るなど、2日間でおよそ1,400名のお客さまにおいでいただきました。SCS出身の俳優、渡辺寿宏さん、高橋卓士さん、蓮つかささんなどの賛助出演も得て、大変盛況のうちに無事に最後まで上演することができました。

 ロビーにはたくさんのお花がならび、全国あちこちからのお客さまにお祝いをいただき、研究所一同、たいへん嬉しく、かつ今後もそのご声援や応援にお応えできるようがんばっていかなければと身の引き締まる思いでした。

 まだ1か月もたっておりませんが、公演終了の翌日からは来月の舞踊劇とダンスショーへ向けての準備に入り、スタッフ、出演者一同、この暑さにまけじと今日もお稽古場で汗を流しています。

 わたしたちの活動の継続の源はみなさまのご声援です。引き続き精進して参ります。どうぞ変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます!

(写真=記念公演の様子、スタッフ席より筆者撮影)

2025年5月20日火曜日

青葉通り

 仙台には仙台駅から青葉城址方面に向けて伸びる「青葉通り」という通りがあります。
なかでも個人的に、一番「青葉通り」らしいと感じるのが、一番町から大町にかけてのこのあたり。


 今月のミュージカル『永遠の虹』公演はおかげさまで無事に終えて、音楽も高評をいただきました。公演成功へ向けご尽力いただいたみなさまに心より感謝申し上げます。
 でも、ホッとする間もなく公演終了翌日からは7月末のSCSミュージカル研究所35周年記念公演「『KAI』~幸せな妖怪」へ向けての準備と曲作りに追われています。
 忙しい時ほど、リラックスする時間の確保は大切ですね。木々の緑いろは癒しと活力の源です。

2025年4月24日木曜日

みどりいろ

桜の季節が過ぎると、緑の季節がやってきます。
一年で一番好きな季節です。
紫陽花の葉の急激な成長ぶりがすばらしく、美しい緑色があっぱれであります。

毎年、この緑の季節に上演するオリジナルミュージカルの作曲と音作りに追われていますが、この時期の緑色に癒されながら、こうして仕事が出来るありがたさをかみしめているところです。


 

2025年3月14日金曜日

連想

気が付くと3月半ば
少し前に録った私の事務所付近での一枚


この時間に外を歩いて日没に出会うとき、いつも頭に浮かぶのは
堀口大學の「夕ぐれの時はよい時」と、吉野弘の「夕焼け」の2篇

この日はなぜか、中学時代に愛読した八木重吉の詩や
学生時代に読んだキーツの詩などを連想した

しばし、連想と妄想にふける

それにしても、毎度日没後の空は、まるで祭りの後のようにさびしくやるせない

2025年1月19日日曜日

赤いギター

私にも子供時代はあって(笑)小学生から中学生になる1970年代の初め頃、フォークソングブームもあいまってか、テレビで「白いギター」を見かけることがあり、それにちょっぴり憧れていた。

でも既にブリティッシュロックの洗礼を受けていた少年に、白いフォークギターはちょっとヤワな印象も持っていた。

時は流れて 1993年頃だったと思うが、初めて「トレモロアーム」が付いたギターを買った🎸

フェンダー社のストラトキャスター、アメリカンスタンダード(アメスタ)。当時のストラトキャスター・ラインナップの中ではそれ程グレードは高くないけれど、白ではなく、このエレキギターの赤いボディに惚れたのだ。でもライブで使ったのは、2度ぐらいしかない。

しかしながら、アンプに繋がない状態で、購入以来いつも私の近くに居るギターである。

ただ、もう30年以上経つシロモノだからあちこち経年変化が出ている。

今回生まれて初めて、ブリッジ(写真で棒状の物が出ている根本の金属部分)をオリジナルからウィルキンソン社製のものに自分で交換して、少しガリがあるプラグの接点を研磨し、ハンダ付けもやり直してみた。それ以外は購入当時のオリジナルのままである。

フレットと指板に若干気になるところはあるものの、何しろ私にとって指や手に馴染んでいて弾きやすいので概ねOK。


アンプに繋いで音を出してみたら、心なしか昔より良い音が出る気がする。

次回のSCS作品の録音に使ってみようかな。

ちょっとオタクな記事になってしまいましたね(笑)

2024年11月25日月曜日

行きかふ年も又旅人なり

 五十日(ごとうび)という言葉を初めて聞いたのは、社会人になって間もない頃ですから、もう40年近く前のことです。

今日はその五十日でありますから、たまに銀行に行ったりする用事も出てきます。欅の落ち葉でいっぱいの横断歩道をシャカシャカ音を立てて渡りながら、ふと我が来し方を想います。

ゴトウビの仙台、11月にしてはけっこう暖かく、その言葉を知ったときからはだいぶ仙台も様相が変わったものだとつくづく、しみじみ。

今日は父の最初の命日。今頃あの空の向こうで一足先に出かけて行った母と再会しているかな。

月日は百台の過客にして…と、芭蕉さんはうまいことを言ったものです。なるほど人生は旅のようなものなのかもしれません。しかし、ゴトウビで忙しそうに行きかう人や車は、いつか旅を終える時がくることを忘れているようです。もう来週は師走。行きかふ年も又旅人なり。

旅で思い出しました、私がギターを覚え始めたころに巷ではやっていたフォークソングにはよく「旅」とか「風」とかということばが出てきました。今の歌にはあまり出てこない気がします。コロナ禍以来、まったく旅をしていない私ですが、せめて「心の旅」でも…。←この言葉を聞いて「tulip」というバンドを思い出した方は、きっと同世代ですね。実際、音楽と向き合っている時間は、旅をしているような浮遊感を覚えることがあります。

お父ちゃん、僕の旅はもう少し続きそうです



2024年10月4日金曜日

2024年秋

 一昨日、私のオフィスの窓から撮った写真です。


天気予報によると来週の仙台は曇りや雨のマーク。この辺りの空はすっかり狭くなりましたが、ひとときでも秋晴れ風な空を見上げることが出来てラッキーでした。

2024年秋。今年はどうしたことか、日本の西の方ではまだ最高気温が30℃超えの予報も出ています。

能登の皆さんの事も気になります。先週のSCS公演会場では、年明けの地震被害に関する義援金募集活動に続いて、この秋の大雨洪水被害に関する義援金を募りました。



1年のうちに同じ地域へ2度の災害義援金募集するのは私どもとしても初めてです。何とも心が痛みます。次回の公演会場でも募金箱を設置予定です。

皆さまから頂戴した義援金は全て年末に石川県の受付窓口口座へ送金する予定です。

2024年9月2日月曜日

県民会館にて

先月はミュージカル『アニー』仙台公演を観劇しました。ダフィ役でSCSミュージカル研究所出身の朝日美琴さんがご出演ということもあり研究所の皆と応援。美琴さんはもとより各分野において私共SCS出身者の活躍は頼もしく、嬉しいものです。

来月は、劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』を観るために東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)を再び訪れる予定です。劇団四季には現役で5名ほどSCS出身の俳優が在籍し様々な作品で活躍しています。SCS芸術監督の梶賀千鶴子さんの作品の上演されているということもあり、たいへん縁の深い劇団です。

さて、宮城県民会館は、四季をを通じて仙台の様々な野外イベントの会場ととなる美しい定禅寺通りに位置しています。1964年の開館だというから、今年で還暦の建物です。そのステージには、私も何度か立たせて頂いたということもあって、個人的にも愛着のある会館。そのたたずまいが定禅寺通りのケヤキ並木と実にマッチしているように思うのは、単に見慣れてしまったせいだけとは思えません。文化は身体に内在されていくものと常々思っておりますが、劇場とその面する通りや周囲の雰囲気は人々の記憶としてこの60年で深く刻まれてきている気がいたします。

愛着のあるこの劇場も移転が決まっています。新しい宮城県民会館は、2028年度完成を目指して仙台市青葉区から宮城野区へと移り来年度に着工されると聞いています。計画は県のホームページなどで見られるようですが、新しいホールが人々にこんどはどんな記憶とにぎわいを生み出していってくれるのか、今から楽しみです。






2024年8月23日金曜日

スピーカーの上

 長く子どもたちと接していると、たまに何気ない贈り物をもらうことがあります。

小さなものでも、当時の子どもたちにとって大事なものだったのだろうと思うと、決してぞんざいに扱うわけにはいきません。かといっても置き場所をまちがえると無くしてしまいそうでもあります。

ひとまず、彼ら小さな贈り物たちの居場所は音楽作業机の愛用スピーカーの上、と定めてから、彼らは意外といごこちよさそうです。

本来はスピーカーの上にはいろんなものを置かない方がよいのですが、ここではあまりシビアな作業をしませんから、まあ良いかと。

彼らはばらばらに居るより楽しいのかもしてません。ふと、発想がスタックしたときなど目線をそこに移すとほんのり癒された気分になります。

僕が席を外している間、彼らはひそかにおしゃべりしていたりして(笑)