2019年2月17日日曜日

舞い上がる雪けむりの向こうに

目の前を2両編成の電車が疾走してゆきました。
ここは、通称、斜平山(なでらやま)の麓にあるJR米坂線の踏切。
この踏切の向こうにはまっすぐな道が続き、その先には壁のように斜平山がそそり立っています。

このあたりの景色は、漫画家のますむらひろし氏も『アタゴオル』の中で描いておられる絵と構図が一致します。氏とはまだお会いしたことはありませんが、高校が同窓で大先輩にもあたります。その昔、ひょっとすると似たような米沢の景色を見ていた可能性もあるのかなぁ。半世紀近く前の小学生の私は、この先に広がる田園風景の中で、オタマジャクシの卵を取ったり、サンショウウオを捕まえたりして遊んだ記憶があります。

さてさてこの写真は一昨日の夜に撮影したもの。


このときの気温はマイナス10.5度。
米沢のミュージカルグループ「伝国座」のお稽古場へ向かう道路は、クルマを進めるとバリバリと音をたてるほどに凍てついています。

そんななか前方の警報機が鳴り、遮断機が下ります。そして電車の明かりとクルマのライトで周囲が一瞬闇に沈むと、疾走する電車が巻き上げる雪けむりの向こう、まっすぐな道の先の山並みが見えた気がしました。
しかし、それはなぜかしら夏の山。電車が通り過ぎた後には道の両側に広がる青々とした田んぼ。

おそらく我が身にインプリンティングされているであろうこの闇と寒さは、意図せず私を妄想に駆り立てます。

それは、生きて行くのに必要な想像力につながる大事な源泉です。
闇は必要です。

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