2013年10月16日水曜日

台風一過、エピタフ。

昨年の二紀展で準会員の最高賞に選ばれた高橋勉さんが、今日が初日となる今年の二紀展に「約束の地」と題された2作品が展示されているというので、足を運んでみました。
会場は、東京・六本木にある国立新美術館。


台風一過の空は清々しく、少し歩くと汗ばむような感じ。
その一方で「帯広では初雪」というニュースも届き、季節は確実に移ろい行くことを実感していました。

さて、初めて訪れたその美術館の中に入ると、1階受付には次々と来場者の姿が。


今回訪問のお目当て高橋勉さんは、実のところ七ケ浜国際村事業協会事務局長という肩書きもお持ちです。しかし今日は純粋に「アーティスト高橋勉」としての作品を鑑賞させていただきました。
絵に関しては素人、浅学非才の身故、作品を語るには足りぬのですが、感じたままを少々したためてみます。

作品は、全体が土色というより墨色というか青昏いような色調です。よく見ると化石になった生き物たちがあちこちに描かれています。タマゴを想起させるような山、まるで、地球上の生命の営みを感じさせるような、氏独特の異次元物語が描かれているような印象でした。
これは、彼が七ケ浜の絵描きであると知っている私の邪推かも知れませんが、「約束の地(道標)」と題された絵の中に見える幾つもの柱は、高台につながる道を急ぐ人のようでもあり、墓標のようでもありました。個人的にあの日の光景が蘇り、胸に迫ってくるものがありました。

震災後に描かれたこの作品。
彼が描こうとしたのは、今、地球上に生きるものたちへの慈しみと同時に、そのエピタフだったのかも知れません。

(台風の影響で1時間遅れの東北新幹線の車中にて)

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