2011年10月14日金曜日

砂時計

僕はすっかり
砂時計の砂が
間もなく全て
落ちてしまうのだと思っていたよ

しかしあの日を境に
あなたのやさしいいのちが
ぼくを支えはじめ
再び砂時計はひっくりかえされた

下に落ちた過去砂は
一瞬にして
あまたの未来砂となり落ち始めた

僕の砂時計の
中身は封じ込められたまま
何も変わっていないはずなのに
まだ時間(とき)を旅する余力があったのか

ひっくりかえせば
ふたたび手に入る時間があったんだ
ここからは奇跡の時間だ

たとえば
月明かりのないこんな夜は
僕を孤独にするけれど
砂の音に耳をすませて
きっとあなたをみつめていよう

すべてが落ちるまで

(C)2011 Jun Hirose

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