2014年5月3日土曜日

そのまま

いつの頃からか「言葉になる前の言葉」が気になっていた。
脳内に発生するいろいろな概念が、地球上に存在する様々な言語で、瞬時に単語や会話となったり、歌となったり、叫びとなったり。
ニンゲンという生き物特有の表現だ。

さて、昨日はSCSミュージカル研究所の精鋭チームで宮城県利府支援学校に小さなミュージカルの出前に出かけた。
学校に到着して、体育館の近くのあぜ道を見ると、タンポポが誇らしげに咲いている。


少し視線を先に延ばすと、こちらでは咲き終えた花たちが風を待っている。


陽当たりも土も同じように見える環境でも、それぞれ違う佇まいをみせている。
どちらもタンポポである。
つまりはこれら環境も含め全部がそのままの自然であることを感じる。

案内された駐車場にもタンポポがあった。
踏まないように注意して注射したけれど、他の草花は踏んでしまっている。


…ごめんね。
おまけに、ここに生きているタンポポ以外の草花の名前も知らぬ浅学者。

開演時間が近付くにつれて、体育館には沢山の児童生徒、職員の皆さんが集まってこられた。
校長先生のお話によれば、在籍している生徒数約260名、職員数は約150名にのぼるそうである。
あっという間に400名以上の観客で体育館は埋め尽くされた。
ここ利府へは、まだ養護学校と呼ばれていた時代から芸術鑑賞会にお招きいただいている。
私たちは、ここへお邪魔するのを今年も楽しみにしてきた。
普段制作担当のスタッフも出演し、梶賀先生は幕の開け閉めの係りを自らかってでる。
SCS創成期の自分たちの姿を思い出す。


ひょっとすると、これが私たちの自然体なのかもしれない

幕が開くと、体育館の子どもたちの反応は、実にストレートで清々しく、こちらまで楽しくなってくる。


頭の中に生まれてきた「楽しい」という概念を、そのまま体じゅうで表現してくれている。
まったく「そのまま」の表現は、私に痛いほどに突き刺さり、表現に対する日ごろの怠慢を反省させられる。

出演者たちにとっても、文字通り役者冥利に尽きること。

やはり究極の表現は「思った通りのそのまま」が良いのであろうと感じていた。


と、ここまで書いて、昨日のブログ記事を思い出した。
出演者、スタッフと共に昼食を食べに行った先に「わたあめ製造機」が置いてあった。
私は綿あめが好きである。ゆえに、その機械が気になった。
普段なら、それを使って綿あめをつくるなんぞ、
こどものやる事と、興味がわいた気持ちをうっちゃっておいたであろう。
しかし、きのうは「思った通りのそのまま」行動するのが良いと思った。

童心に還って、綿あめ製造機に向かって割り箸を振り回してみた。
その結果、楽しかった。
おいしかった。

それでいいのだ、と思ったひとときであった。

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