2015年7月20日月曜日

MUSICAL「カミナリム」制作レポート(6)【オペラ歌手とミュージカル】の巻

関東地方では梅雨が明けたとのニュースを聞きました。東北地方の梅雨明けもカウントダウンが始まっているのでしょうか。
さて、「カミナリム」公演まで残り5日となり、こちらもカウントダウン。あらゆる作業が追い込みに入っています。と同時に楽しい緊張感が続いています。我々スタッフはもちろんですが、今回客演の皆さまも稽古に熱が入っております。

オリジナルミュージカルの醍醐味の一つに、今まで誰も聴いたことが無い言葉や音楽の表現を三次元化していけるということがあると思います。
オペラは基本的に台詞は殆ど無く「歌」で物語を進行することが多いのですが、ミュージカルの場合は、お芝居やダンスといった身体表現や、映像表現など、ほぼ無制限に芸術分野の要素を取り込んでいくことが可能です。
アーティスト側から見れば、それぞれ歌、器楽演奏、お芝居、ダンス、どれをとっても専門家やプロが存在し、独立して公演を行うことが出来る分野ですから、それらを統合、融合していくこと、しかも一人のアーティストがやるとなれば、かなりハードルの高いものになります。

しかし、今回の作品では、東北にゆかりのあるオペラ歌手二人が、その高いハードルに向かって、私たちと共に明るくエネルギッシュに挑戦してくださいっています。

そんな昨日の稽古場…。
青いマントで稽古場を跳んでいる(!)のは、テノールの佐藤直幸(さとうなおゆき)氏。


非常に美しき声を持つ彼は「利仁(としひと)」という役名での出演です。
宮城県の出身でこの春に、東京藝術大学音楽学部声楽科、同大学院を卒業した若手のホープ。そして柔軟な思考と優れた行動力の持ち主でもあります。アカデミズムの枠内に留まらず、 声楽的表現と身体表現を両立させる実践に挑んでいます。

一方「大嶽丸(おおたけまる)」という役名で出演するのは、バリトンの佐藤一成(さとうかずなり)氏。


彼には「ブリリアントな声」という表現がぴったり。武蔵野音楽大学、福島大学大学院を卒業され、福島オペラ協会理事長を務められている東北オペラ界の重鎮であるとともに、ご自身のバンドではエレキベースも弾きこなすボーダーレスな表現者。

このお二人をオペラ界からお迎えしてのSCSミュージカルは、創立25年目にして生まれ変わったのではというような印象を、各場面稽古の空気から感じています。
私たちは、オペラの歴史とその表現方法に深い敬意を抱きつつ、一流の音楽家たちと百戦錬磨のクリエイティブスタッフの知恵と力をお借りし乍ら、オペラと日本のオリジナルミュージカルの関係に新たな息吹を吹き込む挑戦を始めます。 

今週末開幕の「カミナリム」公演、そしてSCSミュージカル研究所メンバーに、どうか皆さまのあたたかきお力添えを、そして引き続きのご声援をお願い申し上げます。


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