2016年2月1日月曜日

ファーブル昆虫記

『ファーブル昆虫記』。私の記憶にある45年前くらいに読んだ本は、もう手元にありませんでしたから、アマゾンで奥本大三郎先生の編集と翻訳によるポケットに入るサイズの本を求めて、時間を見つけては取り出していました。

ここまでで、もっとも心に残ったフレーズ…

「ひとりでしずかに観察をし、よく考えるのでなければ、たいせつなことを見落としてしまう」(ファーブル昆虫記〈1〉ふしぎなスカラベ -集英社文庫– 翻訳・編集=奥本 大三郎)


ファーブル先生は、野外観察などに出かけるときはほとんど一人で出かけていたそうです。変わり者とも評されていたようですが、この本からは、虫に関する情報はもちろんのこと、生きるということ、それに人間社会にもあてはまるたいせつなことなど、ファーブル先生が記した多くの示唆に富んだエピソードに触れることができます。

45~46年前、なぜか母は、虫に興味を持ち始めた子供の私に、ファーブル昆虫記全巻を揃えてくれました。全巻買ってもらうまで半年ぐらいかかったと記憶しています。きっと当時余裕などない家計をやりくりしてくれたのでしょう。この文庫本を読み進めるうちに、そんな子供の頃の風景も併せて浮かんできました。

第1巻を読み終えて、ふと思いました。
今の私が、稽古場のこどもたち、教室の学生諸君に伝えなければいけないのは、さきのフレーズ、そして「孤独な時間の大切さ」かもしれないな、と。
時代を超えて読み継がれる作品は、時間をおいて読み直すと、さらに深い感動を呼び起こすことが多くあります。

奇しくも1巻目、最後のページをめくった日は、昨夏逝った母の誕生日でありました。

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