ももこという少女が主人公となる作品なのだけれど、ももこのいる世界は、こちらなのかあちらなのか…
これ以上はネタバレになるので、控えるが、このミュージカルのタイトルが決まるまでの仮タイトルは「忘れないで」であった。
津波で町の3分の一が被害を受けた宮城県七ヶ浜町。
震災後初めて「新作」のミュージカルが地元の出演者たちによって上演される。
稽古が進むにつれて「忘れないで」という地元からのメッセージが浮き彫りになっていくように感じている。
さて、今日は11日。月命日である。
未だにいろんな思いが胸をよぎる。
そういえば、1が並んだ2011年11月11日は、何してたっけ?
手帳を見る。
そうだ。
ドイツのフランクフルトで平泉ミュージカル「夕焼けの向こうに」を上演した日だ。
異国の地で本当にお客さまがいらっしゃるのかどうか、直前まで不安だらけだったことを憶えている。しかも、ドイツのお客さまは厳しいから、公演の途中で帰る人がいても気になさらないでね、と現地スタッフから脅かされていた(笑)
しかし、詰めかけたフランクフルト市民の皆さんは、途中退場する方もなく、最後にはスタンディング・オベーションを頂くほどの好評を得て、出演者、スタッフともに大喜びしたものだった。
あんなに感動したのに、その記憶も、あっという間に「思い出そうとしないと」それがいつだったかわからなくなる。人間の記憶は左様に心許無い。
さて、今年9月の連休。センセと気心知れた友人の3人で「はらこ飯」を食べに出かけた。
それはもう、美味しく楽しい時間を過ごした。美味しくいただきながら、震災後、ここ亘理町あたりも含めて沿岸部を日生劇場の皆さんと被災地公演として廻ったことを思い出した。
一方、その日私たちは、、震災以来3年半ぶりに帰宅困難区域の国道6号線が通れるようになったと朝のニュースで聞いていた。それぞれの立場、それぞれの胸のどこかで、それがずっと気になっていた。
そこで、ほんとははらこ飯だけの予定であったが、思い切って予定を変更して、6号線をを通りつつ福島から栃木のほうへ抜ける計画を立てた。
そして、車は「帰宅困難区域」へ。
そこで見たものは…
すべての家の門にバリケードがある街並み。
「我が家に未だ帰れず」という現実。
言葉を失った。
人が行かなくなるところは見えなくなり、忘れ去られがちである。
しかし、そこは、
現在進行形ならぬ現在震災形である。
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