2014年12月25日木曜日

カフェ・ロイヤル~ウェストエンドの断片(10)

もうすぐ年の瀬。
夏以降に時々書いていた「ウェストエンドの断片」シリーズは年内限りの予定。

さて…記憶が風化しないうちに書き記しておこう。

英国らしい天気の8月12日。
和巳さんと私はロンドンのど真ん中にある「カフェ・ロイヤル」にふらっと立ち寄った。


カフェロイヤルは1865年にレストランとしてオープンし、かのオスカー ワイルドをはじめ、ジョージ バーナード ショー、バージニア ウルフといった文豪らのサロンだったことで有名な場所。2008年に一旦閉店、今回我々が訪れたのは、2012年Cafe Royal Hotelとして、再オープンした建物だ。


かつての常連の方々には、さきの文豪たちをはじめ、英国首相チャーチル、エリザベステーラー、デビットボーイ、ミツクジャガー、プリンセス・ダイアナ…演劇界の華やかな顔ぶれや、偉大な政治家、王族、芸術家の名前があがる。


我々もちょっぴり、その雰囲気の片りんを味わった。
12年前の私のロンドン一人旅の時は、ハイソな先入観が大きすぎたのか私には敷居が高くて入れなかった。一方和巳さんは、その昔エクセター大学の学生の頃、何度か友人と車を飛ばして、ここまで「ちょっぴりぜいたく」を味わいに来ていたらしい。今回は彼が同行していたことで敷居は下がり、ふらっと立ち寄って食事できたのはよかった。
店内で、私が学生時代に少しばかりかじったウィリアム・バトラー・イェイツ(William Butler Yeats, 1865年 - 1939年)の名前を見つけたときは少々感動した。

それにしても、イギリスという国は、知れば知るほどその偉大さとはっきりとした階級社会であることを、いたるところで感じる国である。英国文学や演劇の根底に流れる絶対的な階級社会の空気感。その一方今回あらためて感じたのは、今や世界でただ一人「Emperor」(皇帝)の称号を持つ天皇陛下がおいでになる日本という国のすごさである。英国人は長い歴史を持つ日本文化に対するリスペクトをしっかりと持っていてくれることも肌で感じた。
海外では、今まで見えなかった、世界における日本国、日本人の立ち位置が現地に住む方々との会話の中から垣間見えたりするものである。

カフェ・ロイヤルで和巳さんと交わした会話は、ウェイターのイタリア人の対応が素晴らしいことに端を発した人種や国、言葉の話。もっとも、大部分は、覚えていないぐらいどうでもいい話。

とにかく、我々は基本的に何もしないことをよしとしていた。
その「場の空気」を感じるために、我々の旅があった。

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