こんなに沢山あると、演劇人ならずとも、どんなものが上演されているのか覗いてみたくなりますね。…そう、地図を見ていてふと思ったのは、そこが大事なんですね。つまり劇場や作品は演劇人や演劇好きな人たちのためにあるのではなくて、フツーのパンピーのためにあるもなのです。
劇場も、図書館も大学も、ほんとは町の中にあるべきなのでしょうね。そう考えます。英国では劇場がある、そこに足を運ぶということが日常にあるのでしょう。だから、前回記事にしたミナックシアターのように、イギリスの最西端に連日満席になる野外劇場も存在するのかもしれません。。
そして、あらためて感心したことがあります。
ロンドンの劇場で手に入れたこのチラシ。
Kids Go FREE to Top London Shows!
とあります。
なぬ?子どもはタダでロンドンの一流の舞台が観れるだと!?
うらやまし~と思うと同時に、大人たちによって「劇場は楽しいところ」というインプリンティングがしっかりとなされているのだなあと感じました。小学生の授業でシェイクスピア作品を取り上げているところもあるとか。
シェイクスピアいえば、その生家のあるストラトフォード・アポン・エイボンを訪ねた時に、劇場施設の一部屋が完全に子どものためにディスプレイされていたことを思い出しました。
商業演劇ですらこのように子どもたちを大事するプログラムを多数取り入れている状況ですから、地方の公共施設や劇場では、もっと子どもたちや地域住民のためのプログラムがさかんに行われているようです。今回の旅では地方の劇場を訪ねることににフォーカスはしませんでしたが、私が担当している「文化プロデュース」という授業(東北学院大学教養学部)では、以前、えずこシアター支配人の水戸雅彦氏をお迎えして、水戸氏が視察してこられた英国の劇場事情をご紹介いただきました。その中でも、それぞれの地域における劇場の役割というのは、そのプログラムが大変に進化していて、感心したことを思い出しました。
一方、今読んでいるイザベラ・バードが書いた「日本奥地紀行」のなかで、オヤジたちが一カ所に集まってこどもを可愛がっている姿が描かれている。明治初期のイギリス人女性イザベラの目には「日本人は子供をとても大切に育てる民族」と映ったようでです。つまりもともと日本は大人たちみんなで子どもを大事に育てる国だったんですね。
そんな思いを胸に、英国には英国の演劇文化があり、日本にも同様に伝統的な演劇文化が存在します。この2つの文化をリスペクトしながら、新しい舞台づくりに向かうことが、これからの私たちの立ち位置かもしれないと思っています。
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